SEQの活用事例：名古屋短期大学　様

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オーストラリア保育資格留学における
学生の成長変化についてのEQ検査を活用した検証

名古屋短期大学　様

名古屋短期大学の専攻科保育専攻では、オーストラリアの保育資格の取得を目指し、約11か月間オーストラリアへ留学する。その留学での学生の成長・変化を、EQ検査を活用して検証した。

1.取り組みの経緯

　名古屋短期大学の専攻科保育専攻では、専攻科の約半数の学生が、オーストラリアでの保育資格の取得を目指し、約11か月間の留学を実施している。
　名古屋短期大学の保育資格留学プログラムは、2014年度以降毎年、日本学生支援機構の海外留学支援制度に採択されており、渡航する学生の多く給付型の奨学金を受けている。そこで、奨学金を受給するにふさわしい成果が得られているのかを検証するために、保育技術や語学力など、可視化出来る力だけではなく、内面の変化を測ることができないか、という想いから、2016年度よりEQ検査の活用を始めた。

2.実施対象と方法

　留学をする学生は専攻科1年生40名のうち20名が、「留学タイプ」として、オーストラリアの保育士資格取得を目指し、留学をする。一方の半数の学生20名は「国内タイプ」として、日本国内で7か月に渡る長期実習を経験する。
　2016年度は留学タイプの学生を対象として、2017年度は比較のため、留学・国内両タイプの学生を対象としてEQ検査受診を行った。
　留学タイプの学生は、5月に留学へ出発し、３月に帰国する。そのためEQ検査は、出発前の4～5月と帰国後の3月に受診をした。

3.2016年度学生の留学前後の変化・成長

　2016年度は、留学タイプの学生20名を対象にEQ検査受診を実施。留学タイプの学生は、留学前の4月の時期から日々の生活の充実感を実感している人が多く、留学を含む目の前の物事に明るく前向きに取り組む姿勢がうかがえた。
　留学後では、もともと感じていた充実感に加え、自分に対する自信や肯定的な考えをする行動量が大きく増加した。留学という経験が、学生を一回り「タフ」な人間に成長させたことがうかがえた。

4.留学タイプと国内タイプの比較

4.0　留学がもたらす変化を捉える
　2017年度は、留学タイプの学生に加えて国内タイプの学生もEQ検査受診をし、「留学」と「国内での長期実習」について、それぞれがもたらす内面的な変化を調べた。対象学生数は、留学タイプ20名、国内タイプ20名。

4.1　留学前・長期実習前の受診結果
　留学前である5月に受診した結果の比較から、すでに留学タイプの学生のほうが多くの項目で行動量が多いことが示された。特徴として、留学タイプの方がやる気を作り出す行動量が多いことが挙げられる。これは留学という新しい世界への挑戦が、ポジティブな気持ちを作り出しているのではと推測できる。

留学前・長期実習前のタイプ別比較チャート

　この特徴は、2016年度の留学タイプの学生の特徴とも一致し、留学を目前に控えた学生の特徴であるともいえる。

　では、留学から帰ってきた後はどのように変化をしたのか。留学・国内両タイプの学生は2018年3月に受診を実施した。
　結果は私たちの予想をはるかに超える数値として表れた。留学タイプの行動量が増えることは2016年度の結果から想定されていたが、国内タイプの学生と比べて増え幅は明らかに大きかった。この結果から見受けられる国内タイプの特徴は、人との関係性を大切にし、それにより周囲から求められている行動をとり、周囲の人とともに感情を分け合うことが多いことだ。留学タイプは反対に、「周囲から求められている」よりも「自分がやりたいこと」を優先することが多く、周囲の人と感情的にならずに接することが多い様子が伺えた。これにより国内での長期実習と留学で育つ力には大きな違いがあることがわかった。

留学後・長期実習後のタイプ別比較チャート