教育現場におけるEQの活用

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SEQの特徴

近年、大学教育の中でSEQをご活用いただくケースが増えてきました。

SEQはEQ理論を背景として、学生が行動の特徴を自ら把握でき、そしてそれを自分にとって改善していくための目標をつくることに適した検査です。
日常の社会生活の中で起きることは、運や性格ではなく行動によって引き起こされていることを理解し、実際に行動目標をたてて開発に取り組み、SEQを複数回受診することで結果が変わる、ということを学生に経験させることは重要な意味があると考えます。
短期間で変化の出にくい性格検査や価値観検査と異なり、行動の特徴を測っているSEQは、行動計画をたてて本人が意識的に取り組めば、多くの場合それほど高いレベルの行動を要求しなくとも、結果は数ヶ月で大きく変わります。
SEQを使った開発は、自分自身を主体的に変化・成長させることを体験させることであり、「どうせ性格だから」と自分自身に限界をつくりがちな学生に対して、今後の主体的な成長の可能性を見せてモチベーションを高めることにつながります。同時に、自ら目標をたてて実践し、振り返る「Plan-Do-Check-Action」サイクルを実践することでもあり、学生一人一人が自分で考える「なりたい姿」へ近づく意欲と方法とを学ぶことにほかならないと考えます。

SEQの活用で期待できること

SEQは行動変化によって結果が変わることから、一定の期間に行われる活動の振り返りや効果測定の場面で効果的に活用いただけます。
実習やインターンシップなど、比較的短期の場面ではその活動の前後でSEQを受診することで、実習によってどんな行動変化が起きたのかを把握することができます。学生一人一人にとっては、実習前に受診することで実習に向かう目標をたてることができ、終了後に再度受診することで行動の変化を把握するとともに立てた目標の妥当性を検証し、次のステップにつなげることも可能となります。

また、半年〜1年程度の比較的長期間の変化を見ることで、学生の全体的な変化や特徴を把握することができます。学生一人一人にとっては自分自身の変化・成長のあとを、その期間に体験したことや環境の変化とあわせて実感することができます。

他方、学生集団に対して一定の方向での意識づけをしたり、スキルが習得できたかどうかを測定するためにはSEQは必ずしも最適とはいえません。 SEQでは、能力検査と異なり、測定している行動の種類(素養)についての価値判断は提供していません。なぜなら同じ行動を多くとっていても、場面や環境、本人が持っている能力やその他の特性によって、そのことがいい結果を生む場合と、そうでない場合があるからです。従って、SEQは自分自身の課題を自ら発見することには適していますが、「○○の素養を上げなさい」というような指導を一般的に行うには注意が必要です。 また、自己評定の質問紙検査である限界性もあって、あるスキルが習得できたかどうかを客観的に測定することはしていません。従って、特定のスキルの客観的な到達度評価に使うには限界があります。

一人一人の学生が、自らの力で自律的に変化・成長していくことを私たちは支援したいと考えています。

EQと社会人基礎力

「EQと社会人基礎力はどちらが大切だと思いますか?」というご質問をいただくことがあります。社会人基礎力に代表されるような、仕事の場面で普遍的に必要とされるスキルである「基礎力」の大切さは幅広い支持を得ており、私たちも大切なことと考えています。 EQは、人がその持っている能力を適切な状況のもとで最大限に発揮できるように、自らをコントロールし、周囲との関係を作る際に発揮されます。このことからEQは「能力発揮のOS(Operating System)」であると言われています。 つまり、社会人基礎力とEQは「どちらが大切か」という並列関係にあるものではなく、社会人基礎力をはじめとするスキルを発揮するための「基盤」をEQが提供している、という関係にあるのです。 しっかりしたマナーを身につけても、緊張のあまり周囲が見えなくなってしまい、自分のことをコントロールできないようではせっかく身につけた「マナー」というスキルを発揮することはできないことを想像していただければ、EQが「能力発揮のOS」として機能していることをご理解いただけるのではないでしょうか。