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医療・看護の世界におけるEQ(SEQ)の大切さ

日本赤十字豊田看護大学 学生・キャリア支援係 係長 山田 亜由美さん

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看護職は、患者および患者家族をはじめ医師や他の医療スタッフの感情を受け、自分の感情表出を抑制する感情労働を行う機会が多くあります。また、相手の感情を安寧にすべく、自分の内心と異なる感情を表出することもあり、そのこと自体にストレスを感じるのは私自身の臨床経験でも実感しています。

新人看護師が1年以内に休職や退職する理由の多くは、新しい環境への適応障害やうつ病発症などメンタルヘルスに関連した理由です。また、看護を目指す学生の中にも、基本的な生活能力や常識、コミュニケーション能力の不足という課題を抱える人は多く、中には修学中から実習や課題に対峙できず、やむなく休学や退学などをする学生もいます。このように、医療・看護の世界で専門職を目指す人の中には修学中も、就職後も、つらい思いを抱えている人も多いといえます。また、その人を支える上司や同僚のサポートには非常にパワーを必要とします。

臨床現場からは、「勉強ができる人よりも強い人がほしい」という声もあり、成績よりもメンタルの面での強さや社会人としての基礎力が求められています。SEQという客観的指標を通して学生が自分自身を見る機会を得ることで、修学中に学生が自らの心を鍛え、社会人として生き抜く上で必要な力をつけることが期待できます。看護の基礎教育に携わる者として、自分自身の感情をコントロールする力を少しでも身に着けた学生を臨床現場へ送り出したいと考えています。